麗人ヒロイン『変身』１０　




「大丈夫　お父様！」







「さっさとその手を離しなさい」

変身したひろが、父親の頭部に突きつけられていた銃を敵の戦闘員の手から瞬時にはじき落とした。


「うむむ、何ということだ。」
「おのれ…、お前達、全員で一気に襲い掛かれ。」


あわてて敵の首領が命令を下す。
身構えていた数十名の戦闘員達が桂子とひろに攻めかかった。

ドドドドドドドド‥‥

二手に分かれて桂子とひろの元へと銃を乱射しながら、攻めよせる。


「ううっ…やぁ…」






ふらふらとよろめきながらも、桂子が攻め寄せる敵を次々と蹴り上げる。

ひろも父親の身を守るように飛び交う銃弾を弾き飛ばしながら、なんとか敵を倒していく。


ドドドドドドドド‥‥

「…うぅん、…え、えぃぃ…」





「…ふぅ、ふぅ…えぃ…、…えぃ…」





桂子もひろも最後の力を振り絞って闘い続ける…

ふたりの奮闘で形勢は逆転、政府軍がなんとか息を吹き返し敵組織を追い詰めていった。




「くそっ！」
「もはやこれまで、退却だ。おぼえていろよ麗人ヒロイン。」

政府軍にもすでに深追いするほどの力は残っていない。

敵首領は負け犬の捨て台詞を吐きながら、這う這うの体で退却していった…



「…はぁ、…はぁ…。よかった。でももう…だめ…動けない…」



「ええ、何とか…。私も、もう…無理…。…はぁ、…はぁ…」





闘い疲れてよろよろと倒れこむ桂子とひろのふたり…
退却していく敵の姿を見ながら安堵の表情を浮かべるものの、すでに自らの意思で体を動かすこともままならない程に体は限界をむかえていた。




ビビビビビビビビ…

ビビビビビビビビ…

そんなひろの身体から…戦闘用スーツが解除されていく…

「…ああっ…ふ、…うぅ…」



そして桂子の身体からも……

「…あ…う、…ううんっ…」




それでも精根尽き果てて立ち上がる事すらできないふたりである…


今回の闘いで麗人ヒロインの全てが公にされてしまった。
しかしこれで全てが終わったわけではない、それでも二人は戦い続けなければならないのだ…


そんな全てを晒してまでも正義のために闘い続けた麗人ふたりに、人々は称賛の拍手を送りつづけるのだ…


「もう大丈夫だ。よくやったな麗人ヒロイン」

駆け寄ったひろの父親がふたりの体に上着をかけながらそう声をかける。
そんな父を見つめて涙を浮かべるひろ…そして桂子であった…


「麗人ヒロイン　変身」　一旦、おわり







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