翌日、
優子は意を決して、法律違反を犯した。偽乳をつけたまま出勤したのだ。
街は予想通り大混乱に陥っていた。
昨日までと比べて明らかに巨乳の女性の数が減っていた。
そして肌を露わにした薄着の女性も減り、みんな胸のあたりを隠すように歩いている。
こうしてみると女性の乳は巨乳か貧乳かの二つにはっきりと区分されるようだ。
昨日までＤやＥカップといった乳を誇らしげに歩いていた女性の姿は皆無になっていた。
その者たちはＡ、Ｂ、Ｃカップといった生乳を偽造してＤ、Ｅカップにしていたのだろう。
衣服の上からでも、今まで中央にあった胸の谷間がなくなり、
全体的に小さな乳が外側に向いているのがわかる。
また、一方でＦやＧカップ、それ以上であろう女性達はやはり、
もともと巨乳だったようで今日もその巨乳姿を衣服ごしにさらしながら歩いているが、
その女性達もなぜかその巨乳を隠すようにして歩いている。
乳房の位置が変なのだ。昨日までの位置よりずいぶん下の方に大きな膨らみがついている。
大きい乳ゆえにやはり垂れているのだ。

優子はなぜかほっとした。
この光景の中では優子のＢカップの貧乳はあまり目立たないのだ。
というより、もともと貧乳だったので、まさか偽乳とは誰も気づかないだろう。
優子は一生偽乳でごまかしつづけることに少しの自信を持ち、
そうすることを改めて決意したのだった。

会社につくと、女性達はみな顔を赤らめ、また青ざめ、
胸元に集中する男達の視線に耐え切れないように憂鬱な表情をうかべていた。
「ほう、あの娘はこんな乳だったのか、えらい貧乳だったんだな」
「おいおい、あの娘の巨乳、あんなに垂れちゃってるぜ」
衣服ごしに女性達の乳を見ながら、
こんな会話が男達の間でひそひそと交わされつづけていた。
この日は一日中、恥ずかしさと惨めさに耐え切れず泣き顔で過ごす女性社員が相次いだ。

「優子先輩。顔色悪いですよ。どこか具合でもわるいんですか。」
退社時間近くなって、声をかけてきたのは優子の後輩のひろ。２２歳である。
優子が学生時代から妹のように可愛がっている娘である。
「えっ、ううん。大丈夫よ。なんでもないわ。」
優子は慌てて言葉を返す。
優子のスタイルは昨日までと変わらず、優美である。
（‥いけない、いけない。覚られないように気をつけなくちゃ‥）
と思いながら自然とひろの胸に眼が行く。
ひろのチャームポイントはＪカップはあろうかという巨乳である。
社内でも有名な巨乳である。
優子の美貌同様に彼女はその巨乳でみなの羨望を集めていた。

さてひろの乳はと見ると‥
昨日までと変わらぬ素晴らしい巨乳がそこにあった。
いや、周りが昨日までとは比べられない程悲惨な状況になっているため、
以前にもましてその姿は輝いて見える。
巨大な大きさだけでなく、若々しい張りをたたえる美しい形状は
昨日までのブラジャーにしっかり支えられていたものと比べると
さすがに多少位置が下がったように見えるが、
それでもその隆起は今も今までと同様にブラウスのボタンを
はちきらんばかりに大きく盛り上げているのだ。
巨大な若々しい生乳をもつ彼女には偽乳禁止法など関係ないのであろう。
昨日までと変わらぬ笑顔で一日中仕事をこなしていた。
（‥やっぱり、すごいわ。ひろさんの乳は。
社内一、いやもしかしたらいまでは日本一の乳の持ち主なのかもしれないですもの。
いいわね…偽乳禁止法なんて無縁なのね‥‥）
優子はひろの乳が羨ましかった。嫉妬を覚えながらもそれを覚られないように
「いけない、もう退社の時間だわ。今日は勇次とデートなの。
お先に失礼するわ。じゃあ、また明日ねひろさん。」
といいながら慌てて会社を後にした。