麗人ヒロイン『変身』 ２
ひろは２４歳。
父親は政府の研究機関の責任者だった桂子(けいこ)の父親の部下で優秀な科学者だった。
ひろの父は桂子の父とともに高性能な戦闘用スーツの開発に携わっていた。
ひろも桂子同様に頭脳明晰、学生時代は女子レスリングの五輪強化選手に選ばれたほどで容姿端麗な麗人であり、極秘の内に桂子とひろ二人の麗人それぞれにシンクロする２つの高性能な戦闘用スーツが開発されていたのだ。
しかし父親とともに、ひろもその戦闘用スーツの完成時期と時を同じくして行方不明となっていた。
父娘は政府に敵対している強大な組織に捕らえられていたのだ。
研究を重ねたその組織は戦闘用スーツへの変身がペンダント状の装置によって行われる事を解明した。
そして、そのペンダント状の装置は桂子とひろ自身が身に着けていないと力が発揮されないように細工されていたのだ。
「もう、我慢ならん。いよいよ、お前の出番だ。麗人ヒロインを倒すのだ！」
本拠地を壊滅された組織の首領は、ついにひろへの命令を下した。
父親を人質に取られ、組織命令への服従の洗脳装置を付けられているひろは、首領の命令に無表情のまま頷いた。
「ふたりの麗人ヒロイン」‥その闘いの火ぶたが切って落とされたのだ。
人知れず胸のペンダントに内臓された特殊装置に向かってひろが唱える時、それは瞬時にひろの全身を覆うのだ。
身体能力の向上と物質転送による、そう…「変身」である。
政府、警察庁特殊凶悪犯対策チームと敵対する組織との闘いはさらに熾烈をきわめていた。
その日…、都心の中心地で大規模な激しい戦闘が繰り広げられていた。
次第に麗人ヒロイン、桂子の活躍によって、政府に敵対する組織は窮地に追い詰められていく。
「変身！！」
政府側の有利が鮮明になっていく中、そう唱えたひろが、警察庁特殊凶悪犯対策チームの前に立ちはだかった。
「？！ なにっ、麗人ヒロインが…」
ドドドドドドドド‥‥
敵方に現れたもうひとりの麗人ヒロインの姿に驚くチーム一同。
しかし、ひとりふたりとあっという間に倒されていく仲間の姿に、我に返ったメンバーが何発もの弾丸をひろに浴びせていく。
その激しい銃弾による攻撃を、ひろの戦闘用スーツが跳ね返す。
「もうおもい通りにはさせない、覚悟しなさい。」
形勢が一挙に逆転、ひとりふたりと相手をなぎ倒して、ひろは一気に桂子のもとへと詰め寄っていく。
「つ…強い…。なんてことだ‥麗人ヒロインがふたり…。」
「ああ、だがあいつは完全に我々の敵のようだ。なぜ、こんな…」
「あなた、いったい誰なの‥。」
「‥麗人ヒロイン‥ わたくしが相手よ。‥‥」
ひろは、桂子のその問いかけには答えず、挑みかかってきた。
双方の戦闘員による激しい戦いの渦の中、
ふたりの麗人ヒロイン…桂子とひろの闘いがはじまったのだ‥
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