麗人ヒロイン『変身』 3



桂子とひろの激しい戦闘…
互いに距離をおいての打撃戦は、次第に実践空手の使い手の桂子が優勢となっていった。
桂子のバンチやキックを何度も受け続けたひろはノックアウト寸前であった。

そしてついに…
ひろが倒れたところを桂子が組み伏した。

いよいよふたりの闘いに決着が…と、その時

ビビビビビビビビ…

桂子の戦闘用スーツに異変が生じはじめていた。






(あっ!  いけない… このままでは不味いわ… 仕方ない…)

ひろとの戦闘開始からすでに20分が経過、桂子が変身してからの時間は30分になろうとしていた。

変身から30分を経過すると戦闘用スーツが身体から次第に解除されていってしまうのである。
ビビビビビビビビ…と激しく感じた衝撃は解除への警告であった。

「今日はこの位で堪忍しておいてあげる…、さあ、さっさと退却なさい」

桂子はそう告げるとひろを解放した。

「くっ…次は、負けないわ…」

息も絶え絶えによろめくひろは、そう言い残すとその場から去っていった。

戦闘中の者達が気付くと、桂子の姿もいつのまにかその場から消えていた。

それが合図かのように闘い疲れた両軍はそれぞれに退却していった……。


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「やはりそうか。ふふふ…、思っていた通りだ。よくやった、今日の目的はこれで充分だ!」

アジトに戻ったひろに組織の首領は、そう言った。





「あいつもお前と同じようだ。戦闘用スーツへの変身可能時間は30分。」
「それを過ぎると、次第にスーツの威力は解除されていく」

「最後には、戦闘用スーツが解除された…ふふふ…そんな姿を晒して戦うことになるのだ…」

「そしてなによりその時は…ついに突き止めた…麗人ヒロインの秘密が明らかにされるのだ…ははは…」

「次の闘いが楽しみだ。麗人ヒロインめ、覚悟するがいい。ふふふふふ…」



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(ふぅ…危なかった…)

戦場から戻った桂子は、ほっと胸をなでおろしていた。





30分にも及ぶ激闘は、麗人ヒロインとして始めての事であった。

今回はなんとか敵組織の進撃を食い止める事ができたものの、思わぬ苦戦に戻ってきたチームの者達も疲労しきっていた。

(平和を守るため…なんとしても闘い抜かないと…)

(絶対に負けない…負ける事は、正体を晒す事…何より麗人ヒロインの秘密が世の中に公にされてしまう事になるんだから…)



それにしても…桂子がほっとなでおろした、その胸は… 悲しいほどに膨らみがない。

容姿端麗…スタイル抜群と噂の麗人ヒロイン…しかし戦闘用スーツが解除された桂子自身の胸は本当は極度の貧乳であったのだ。

桂子は切なそうに本来の大きさに戻った胸をたしかめるように抱えた。

変身時の戦闘用スーツのバスト部分の膨らみには弾丸などから身を守り、攻撃時には数倍の威力をもたら為の強力なエナジーが蓄えられるのだ。

敵組織の首領が突き止めた麗人ヒロインの秘密とは…この事であった。

(それにしてもあの娘はいったい何者なの、それにあの胸…わたしのものよりかなり大きかったような…)

(より強大なエナジーが彼女の戦闘用スーツには蓄えられるのかも…だとしたら侮れないわ)


それは、蓄えられるエナジーの差ではなく単に桂子の貧乳とひろの巨乳との大きさの違いであったのだが…

桂子は嫉妬するかのように唇をかんだ。

極秘理に進められていた戦闘用スーツの開発の経過や、ひろの存在など知らずにいた桂子は、もうひとりの麗人ヒロインの出現にとまどっていた…







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