『美沙』のコンプレックス
旅行を明日に控えて、美沙は悩んでいた。
伸二との泊りがけの旅行。
いよいよ、伸二と結ばれる。
今まで何度もそんなチャンスはあったものの、
その都度美沙がなんとなく伸二の誘いをかわしていたようになっていた。
伸二の事は愛している‥、でも‥
伸二に自分の裸体、その全てを晒すのが恥ずかしいし、怖いのだ。
スタイル抜群の美沙が、なぜなのか‥、それには理由がある。
美沙には人に言えない、美沙本人にとっては想像を越えたコンプレックスがあったのだ。
人も羨むほど、男達が絶賛する程スタイルのいい美沙。
大きな胸、長く細い足、そしてきゅっとくびれたウエスト‥
しかし、唯一そのくびれたウエストの中で、へっこんでいる部分
その、おへそが、美沙の唯一にして最大のコンプレックスなのである。
ウエストが細すぎるせいなのか、おへそが少し出っ張っているのだ。
いわゆる出べそというやつだが、それ程極端なものではなく、
ちょっと出っ張っていて、変わった形かなと思うくらいなのだが
美沙にとっては、一生結婚もできないのではと思っている程のコンプレックスなのである。
縦すじが入ってすらっとした綺麗なおへそに美沙は憧れているのだ。
２５歳の美沙は、もちろん処女ではないし、過去にはそれなりの男性経験もある。
しかし３年前に別れた元彼の、「美沙の身体って出べそじゃなければ完璧なのになぁ」
という心無い一言がトラウマとなっていて、それ以来男性との付き合いに臆病になっていたのだ。
伸二に笑われて嫌われはしないか‥それが、おへそコンプレックスの美沙の悩みであった。
おへそコンプレックス Vol.１〜より
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