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開設１０周年記念小説～恥辱シリーズ第３弾～

ここ都心の、ある大手銀行の銀行内はしずまりかえっていた。
行員と顧客、数十人を人質にとった強盗団が立て篭もったのだ。
外は警察が包囲している。
多額の金を手に入れた、強盗団一味は、人質を盾に警察に対して逃亡用の手配を要求した。

第三章　特殊犯女刑事『美知(みち)』

「逃亡用の手配ができたようです。」
「そうか。それじゃ手筈どおりに…」

強盗団一味が逃亡用に用意させたのは２０人程が乗れるテレビ局のロケバスだった。
そこに放送機材を積ませて放映技術のあるカメラマンを同乗させるように要求していた。
交換条件として彼らは人質全員を解放する事を約束した。
カメラマンは新たな人質としての意味も込めて若い女性である事が条件とされていた。
その上、ふざけた事に「美人にしろよ」というのが、強盗団の言いざまであった。

一味を捕らえようと、バスに乗り込むタイミングを狙っていた警察であったが彼らは狡猾だった。
最初は様子見のように、シャッターが僅かに開けられ猿轡をし拘束された支店長が外へ放り出された。
この時点では警察は一味の人数すら把握できておらず、近づく事もできなかった。
次に両手を縛られて一列に繋がれた人質達が順番に出てきた。
その人質達を盾にするように桂子と美穂を伴い目出し帽をかぶった一味が用意されたバスに乗り込んでいく。
乗り込んだ強盗団一味の人数は８人であった。

姿を見せた桂子と美穂は白いブラウスとグレーのスカート姿で両腕を拘束されていた。
ふたりにとっては連れ出される前に服を着させて貰えたのがせめてもの救いであった。

逃亡用のバスに、強盗団一味が桂子と美穂を連れて乗り込んだ。
ロケバス内の様子はフィルムやカーテンにより外部からは伺い知る事はできない。
この間警察は、結局どうすることもできずに指をくわえて見ているしかなかった。

カメラマンの女性が変わりの人質となるべくバスに乗り込もうと乗車口に近づいた。

「ほお…、美人という条件はクリアだな。だが、乗り込むのはちょっと待て。」
「どうせ、この車、追跡用の探知機かなんかがつけられてるんだろ。美人の刑事さんよ。」

「…何の事ですか。」

乗車口で車内から主犯の男に問いかけられた女性カメラマンは男の疑惑を打ち消すように冷静に答えた。
男のいう通り、カメラマンの「美知」は特殊犯捜査の女性刑事であった。
充分な訓練を積んで優秀な上に、男達の要求に答えられるような選りすぐりの美人刑事であった。

「まあ、いい。とにかく変な物を持ってられちゃ困るんでね…」
「そうだな…ジャンバーとトレーナー、それとジーパンは脱いでもらおうか。」

「…ここで…」

「そうだ。…うむ…、あそこで撮ってるＴＶカメラにそれを撮らせるように伝えろ。」
「確認のためだ。あんたが乗り込んだら、ふたりの人質は順番に解放してやる。」

「……」

美知は人質の身代わりになるための相応の覚悟はすでに決めている。
人質となって車に乗せられたふたりの女性を救い出すのが最優先である。

ふぅ…と一つ深く息をして、持っていたＴＶカメラを地面に置いた美知は振り向いた。
事情を伝え聞いて、後ろに控えていたＴＶ局のスタッフが放映をはじめた。

「いいだろう。早くしろ。」

テレビ局のスタッフとしてカメラマンに扮した美知は、感情をおし殺したように黙って男の指示に従った。

（人質の安全が掛かっているのよ……）

自らを奮い立たせるように美知はテレビ局のロゴの入ったジャンバーを脱ぎ、トレーナーを捲りあげた。
唇を噛みながら羞恥心を抑え、ジーンズのボタンを外しファスナーを降ろす。
ファスナーが大きく開いたジーンズが「パサッ」とスニーカーを履いた足元に落ちた。

生中継で放映されているＴＶカメラに向かってジーンズを脱いだ姿。
さすがにその様子がＴＶ放映されている事に、美知は顔を赤らめ股間を手で覆い体を屈めた。

「何も、持ってなんかいません…、…車に乗せて…」

ＴＶカメラの前から早く逃げ出したい気持で、屈みこみながら美知が言った。

「ふっ…まあ、いいだろう。中に入れ。」

男に言われて、その姿でＴＶカメラを担いた美知は卑劣な男達が待つ車に乗り込んだ。

車に乗り込んだ美知はさりげなく車内の様子を確認した。
強盗団一味は、車内のモニターの前にどっかりと座り込んだ主犯の男の他に７人。
全員が目出し帽をかぶった大柄な男達だった。
後方の座席に別々に座らされた桂子と美穂はそれぞれが２人の男に拘束されている。
運転席にはすでに男がひとり座っている。

「あんた警察なんだろ…。…少しでも変なまねしたら人質の命はない。」

そう言って、ＴＶカメラを持った美知にはひとりの男がぴったりとはりついた。
残るもうひとりの男は、先ほどから何かの機械の装置を操っている。

「あんたの変わりに人質は解放する約束だったな。」
「いいだろう。そこのおっぱいのでかい…乳輪女子行員。まずは、お前を解放してやる。」
「ここにさっき撮った映像がある。ふふふ…分ってるよな。警察に余計な事は喋るなよ。」

「さぁ、こっちの…麗人女子行員の…お前には、ＴＶカメラでこっちの要求を警察に伝えてもらおうか。」
「おい、カメラマン役の婦警さんよ。あんたが撮ってこいつの映像を放送しろ！」

「…婦警なんかじゃ…ありません。」

美知が男の疑惑を打ち消すかのように放映の準備をするとＴＶカメラを構えて撮影を始めた。
最初に強盗団から、車内からの映像を生放送するように指示が出された。
警察からの依頼で、各局は急いでロケバスからの映像を生放送するように準備をすすめた。

しばらくして、生放送中の車内モニターに両手を拘束された桂子が映し出された。

「…私は…、・・銀行の行員・・です…。もう１人の行員・・さんも…強盗団に拘束されています…」
「…強盗団からの…要求を…伝えます…」

主犯の男からの指示通りに話す桂子の、怯えた姿がＴＶで放映されていく。

「カメラマンの変わりに…約束どおり、まずは人質の…ひとりを解放…する…」
「…この車を追跡することは許さない…、…残りの人質は…目的地についたら解放する…」
「…もし、警察が追跡しようとすれば…人質はどうなるか判らない…、……　あぁ…」

映像は、自分が目的地まで解放されない事を知って落胆する桂子の姿を映し続けている。
車のエンジンがかかり、追跡する事を禁じられた現場は緊張につつまれた。

しばらくすると車から両手を後ろ手に縛られた美穂がひとりで降りてきた。
遠巻きにしている警察のところまで歩きついた美穂は、警官に抱えられると脱力して泣き崩れた。

生放送は要求通りにすべての局で放映され、多くの者がその映像を見ていた。
視聴者の中には残された人質が、今年の麗人女子行員に選ばれた桂子だと気付いた者も多かった。

「発進するのを待ってください。こんなものが見つかりました。」
「ほう、やっぱりな。なめた真似、してくれるじゃないか…」

先ほどからなにやら機械の装置を操っていた男が、車内で見つけた追跡用の探知機を主犯の男に渡した。
男は車の発進を止めさせると窓から探知機を投げ捨て、桂子を拘束していた男達に合図した。

「…いやっ、何をするの！」

男達の動きに桂子が声を上げると、人質へ危害が加えられそうな気配に美知が肩からカメラを降し身構えた。

「おい、カメラマン　生放送中だ。ちゃんと撮れ！」

男に一喝された美知は、身分を悟られまいと悔しさをおさえて撮影を再開する。

「察の奴ら、逆らうと人質がどうなるか…まだ分かってないようだから、少し脅かさにゃな。」
「カメラマンの女、あんたもだ。ちゃんという通り撮らないとこの人質どうなっても知らんぞ。」
「…麗人女子行員さんよ。悪いがお前にはこれからＴＶカメラの前で、少し恥をかいてもらう。」

男は捲し立てるように言うと、指先で佳子の頬を撫で回す。
桂子はその不快な感触に怯えた顔をしかめる。

「お前も不幸だな。この美しい顔が、これから味わう羞恥にどうなるか。恨むなら警察を恨みな。」

「ああ…そんな！　お願いです。許して…ああ…、許して…」

男達の恐ろしさを知らされている佳子は、救いを求めすがるように男を見て、懇願する。

「だめだな。さて、警察に判らせるのに相応しい姿になってもらおうか。」

男が桂子の頼みを無視して不敵な笑みを浮かべていう。

「まずはスカートから行こうか」

「ひっぃぃ！！　やめてっ…」

男達が佳子のスカートのホックをはずしファスナーをおろす。
スカートはたちまち剥ぎ取られ、白いショーツが現れた。

撮影を止めようとするカメラマンの美知を、主犯の男は脅しながら細かく注文をつける。
美知が撮影する、固く目を閉じて羞恥と戦う佳子の表情がＴＶ画面に映し出された。

続いて男達は桂子のブラウスを脱がして剥ぎ取った。
ブラジャーのポケットの中のパッドは銀行内ですでに抜き取られてしまっている。
中身が抜かれてつぶれた白いブラジャーに包まれた小振りな乳房が露になる。

「とりあえず、その小さなおっぱいを、みんなに見せてやろうじゃないか。」

「だ、だめっ、いやです。そんなこと、止めて！」　

佳子が叫んだ。
ＴＶカメラの向こうで見ている人々に貧弱な乳房をさらすなど、とても耐えられることではない。

「おやおや、おっぱいを見られるくらいでそんなに取り乱されちゃ困るね。」
「これから先、警察の出方によってはもっと恥ずかしい目に合わされるんだからな。」

男がブラジャーに手をかける。

「いやよ！ああ、いやっ！　撮らないで！！」

桂子の訴えに美知がカメラを逸らす。

「もう、これ以上は。許してあげて…」

「うるさい！こいつがどうなってもいいのか。ちゃんと、撮れよ！！」

桂子は三人の男におさえられ、そして美知も両側から二人の男に牽制されて動きを封じられている。
ここで男達に刃向かうのは危険すぎると判断した美知は、仕方なく撮影を再開した。

（ごめんなさい我慢して、…許して…）

撮影が再開された事を確認した男は、容赦なく桂子のブラジャーを剥ぎ取った。

「いや、いやっ！　ああ……」

申し訳程度にしか膨らんでいない桂子の胸がＴＶカメラの前に曝された。
ミス銀行ＮＯ1、麗人女子行員の誰にも知られたくない秘め事が生放送で放映されている。

人質の安全がかかっており、ＴＶ局は警察の許可なしでは放送を勝手に取りやめる事もできない。
麗人女子行員と言われる美貌の女性に襲い掛かる悲劇を放送しつづけるしかないのだ。

その瞬間、ＴＶの前の者達はどよめいた。
人質の美しい女性の、麗人女行員の、裸の胸がＴＶの中で曝されたのだから。
しかも、これはフィクションではなく、報道番組が伝える強盗事件の中継なのだ。
桂子の思いもかけない貧弱な胸、その一点へと視聴者の視線が集中した。

「あの娘、雑誌に出てた麗人女子行員だよな。あんなにペチャパイなんだ…」
「たしか雑誌の写真じぁ。もっと胸も大きくてスタイル抜群だったはずなのになぁ…」
「あんなに貧乳だったなんて。なんか子供みたいな胸だな…」
「乳首は…大きめだけど、…片方は陥没してんじゃないか…」
「麗人女子行員が…脱いだらこんながっかりなおっぱいだったなんてなぁ…」

ＴＶを見ていた男達は不謹慎とは思いつつも不躾な感想を漏らす。
スタイル抜群なはずの美女の貧弱な乳房に優越感を持った女達も少なくなかった。

「ＴＶを見てる連中は、このペチャパイぶりには驚いただろうよ。」
「確かにおどろくほど小さいからな。脱いだらＡＡカップ…だものな。」

「ああ…」

佳子は弱々しく頭を振った。
貧弱な胸にコンプレックスのある佳子にとっては最大の屈辱だった。
佳子の頬が真っ赤になる。
もう、自分を知る全ての人たちと顔を合わせられないと思った。

「どうする、ＴＶの前で素っ裸になるか。…下の方も子供みたいだったよな。」

「…言わないで…　もう…、お願い。許して。」

佳子は涙声で男に哀願する。
頬だけではなく、全身までが赤く染まった肌が佳子の羞恥ぶりを物語っている。

「お願いするのは俺たちにじゃないだろ。」
「これ以上、恥をかきたくなかったら警察によくお願いするんだな。」

男が桂子のショーツに手をかけた。

「いや、いやあぁぁ。お願いです。警察の皆さん。この人達に逆らわないでぇ！」
「お願いです。言う通りにしてください…あぁ…ああ…お願い」

いくら自分からは見えなくても、ＴＶの向こうの視線を感じないわけにはいかない。
みんなが自分の小さな胸を見てる…驚いてる…笑って…いる。
このままじゃ、…子供みたいに薄いあそこまで…見られちゃう…知られちゃう。
そう思うと佳子は、気が狂ってしまいそうな程の羞恥に襲われる。

「もう、もう、いゃぁ！　いう通りにして…追跡…しないで…撮らせないでぇ…お願い…お願いです。」

桂子は、ＴＶカメラに向かって男の指示どおり必死に訴えかけた。

「これ位でいいだろう。奴らもよく判った筈だ…」

男が桂子のショーツから手を離した。
最悪の事態だけは逃れてほっとして一息ついた桂子はその場に崩れ落ちた。
そんな桂子の姿を最後に、美知のＴＶカメラからの映像は途切れて、…車は動き始めた。

「いや、いやよ…、…こんな…生き恥をさらして…　…どうしたらいいの…」

動き出した車の中ではＴＶカメラの前で貧弱な胸を惨めに曝してしまった佳子が泣き崩れていた。
人質へのこれ程のいたぶりを見せられては警察も犯人達の言う事を聞かないわけにはいかない。
車での追跡を諦め、後の事を美知に託して、走り出す車を見送るしかなかった。
人質の桂子と美知を連れた強盗団一味の乗った車は警察の囲みを抜け走り去っていった。

車内では男達によって美知も桂子と同じように両腕を手枷で拘束されてしまっていた。
ロケバスの車窓にはカーテンが引かれており、美知からは外の景色を見ることはできない。
美知はなんとか走行地点の手掛かりを得ようと聞き耳を立てている。
車は今、高速道路の上を走っているようだった。
閉ざされた空間の中では正確には分からないが、すでに２時間程は走りつづけているだろうか。

（ああ…もうだめ…、どうしよう…トイレにいきたい…もう…我慢出来ない……）

走り続けている車の中で桂子が身体を震わせはじめた。
人質として男達に拘束されてからすでに４時間程が立っている。
その間、トイレに行く事もできなかった桂子の尿意は限界を迎えていたのだ。

「…あ…あのう…トイレに行かせてください…」

猶予ならない事態に追い込まれていた桂子は、恥ずかしさをこらえて男に声を掛けた。

「トイレだと。…大か小か、どっちだ…。」

「…し…小です…。…お…お願いします。」

「ふん…駄目だ。どうしてもっていうなら……おお、そうだな…そこでやれっ…」

男が面白いことに気付いたとでもいうように不敵な笑みを浮かべた。

「そ…そんな…」

「嫌なら我慢しろ」

「…待って…も、もう…無理です…ここで…します…」

我慢の限界が近づいている桂子はそう言って項垂れた。

「……そうか…するのか。ならそこにあがって…ふふっ…こっちに向けて小便をしろ…」

男の指示で強盗団一味が車を停車させたのはどこかのサービスエリアなのだろう。
車が停止すると、男は最後部座席のシートの上を指さした。

「そ…そんな…そんなこと…」

「嫌ならいい…お前次第だ。だが漏らしでもしたら許さない…今度は全裸の姿をＴＶ放映してやる。」

「……します。…そこで…させてください…」

桂子に先刻の悪夢が蘇る。
一度言い出したら男が聞く耳をもたないことを熟知している桂子は、諦めたように小さく呟いた。

「ふふ、…いいだろう。おい手枷を解いてやれ…」

桂子は手枷を解かれた両腕で裸の胸を抱えて、震えながら靴を脱ぎシートの上に昇った。
桂子の前にはロケ用の洗面器のような形の容器が、排出物を受け止めるために置かれた。
桂子の前に集まってきた一味の男達の視線はショーツ一枚の桂子のその姿を追っていた。

しゃがみこんだ桂子の股間を白いショーツが包んでいる。
フィルムとカーテンで閉ざされた車内で、男達はおもいがけずはじまったショーを面白そうに眺めていた。

「…お願い…こっちを…見ないで…」

桂子は集中する視線に気づき無駄とは知りつつも男達に懇願した。

「もう我慢も限界なんだろ…早くパンツ下ろせよ…」

「………」

男のいう通り、桂子はすでに我慢の限界をむかえていた。
吸い込んだ息を止めて目を閉じると、ショーツに手を掛けてツルリ…と尻を曝け出した。
左右に開いた桂子の股間が浮き出された。

桂子の悲惨な姿に耐え切れず美知は視線をそらした。
両手を手枷で拘束されている身ではどうしてあげる事もできない。
自身も尿意を覚えていた美知であったが、死ぬ気で我慢するしかないと決意していた。

「もっと足を開けよ…それじゃできねぇだろ…」

限界をむかえたその生理的欲求は、全てに優先する桂子の唯一の願いとなっていた。
そんな状態に追い込まれている桂子は吸い寄せられるように両腿を容器の左右に割った。

「ここの毛は…ほんとに薄いよな…お陰でよく見える…」

最も恥ずかしい部分を曝して顔を真っ赤にさせながら桂子は左右に足を開いている。
男達の目に薄い繁みに覆われた桂子の恥裂が映っていた。

「…容器からこぼすなよ…」

「…は…い…、…あ…ああぁ…」

桂子は力をぬくと、さっと顔を横に伏せた。
「バシャッァァシャァァバババァァァァァァ…」
容器に音を響かせて桂子の放尿がはじまった。

麗人女子行員が全裸で白い尻を曝しながら放尿している姿が男達の目に映っていた。
股間を覆う薄い陰毛の繁みから飛び出す液体が勢いよく容器に放出されていく。
相当に我慢していた事がわかる程、長い桂子の放尿シーンであった。

やがてようやくそれは勢いを無くし、桂子の恥裂から最後の尿滴が流れ出た。
後始末の事など考える間もなく、秘裂を隠すために桂子は立ち上がりショーツをひき上げた。

男達の目の前で放尿シーンまで演じてしまった桂子は、手枷で拘束されもとの席に座らされた。
人としての尊厳まで失ってしまったかのように、黙ったまま俯いてもはや身動きもしない。
そんな桂子を尻目に、まるで何事もなかったかのように強盗団の車はふたたび走り出した。
しばらく走り続けた車がどこかのインターで高速から降りたのを美知は感じた。

強盗団一味は車の通りもない山道に車を入れて走り続けた。
彼らの逃走計画は用意周到だった。
人里離れた山中にロケバスを駐車すると、待機していた２人の新たな仲間の車に乗り変えた。
用意された二台の異なるワンボックスカーに、目隠しをされ美知と桂子が別々に乗せられる。
ロケバスから放送機材を移し終えた一味の男達も４人づつ分乗した。
ロケバスを乗り捨て、都合６人づつが乗った二台の車が山道を降りていく。
山道を降りた車は大通りに出ると別々の方向に逃走していった。

警察はＮシステムでのデータ把握による車輛の追跡を行っていた。
強盗団から人質を盾に追跡を禁じられているために検問を張る事もできない。
様々な手を尽くして彼らが目的地とする場所を突き止めるしかなかった。

強盗団の２台の車はそれぞれが別々のルートで、一味のアジトにたどり着いていた。

「乾杯だ！　どうだ、完璧だったろう。ほらっ、それぞれの取り分だ。」
「明日になったら、ほとぼりが冷めるまで違う土地で離れ離れの生活だ。」
「今日が最後だ、大いに飲もうぜ。とびきりの美女もふたり、そっちに控えてるからな。」

強盗団は全部で１０人、主犯の男がこの日の為に周到に集めた信頼のおける仲間達だ。
目だし帽を脱ぎ、祝杯をあげながら、盗み出した大金を一味の男達が分けていく。
長い時間をかけて綿密に立てた一世一代、一度きりの計画が今回のものだった。

たしかに完璧な結果だった。
男達が脅しのために持っていたのは、見せかけだけのただのモデルガンなのである。
人質も警官も、だれも殺傷する事なくまんまと大金をせしめる事ができたのだから。
しかし、女達、とりわけ美穂や桂子が受けた恥辱という傷はけして消えないものであった。
だが、そんな女達の痴態は男達にとっては行き掛けの駄賃くらいにしか思っていない。
その駄賃を最後にもう一度味わおうと、結局ふたりをアジトまで連れてきたのだ。

（…ああ…もう、だめ…）

部屋の隅ではＴＶ局のカメラマンに扮した女性刑事の美知が悶えていた。
目だし帽を脱いだ男達の顔を記憶しようと思っても、それどころではなかった。
美知に襲い来る排尿の欲求はアジトにたどり着いた時がすでに我慢の限界だった。
桂子の結末を見せられていただけにトイレに行かせてほしいなどとは口が裂けても言えなかった。

「…あ、あぁぁ…、あぁぁぁぁ…」

それでも生理的欲求を我慢するのは、いつかは限界の時がくる。
美知はその欲求を男達に言い出せないままに、その時をむかえてしまったのだ。
座り込んでいた美知のまわりに、恥ずかしい水溜まりができていった。
美知はついに耐え切れずにその場で漏らしてしまったのだ。

「ぁ……」

最初にそれに気付いたのは美知の隣で拘束されていた桂子だった。

「何だ。　どうしたんだ。」

「…ぃゃ……なんでも…ないんです……こないで…ぁぁ…」

祝杯を挙げていた男達が、人質の女達の異変に気づいてふたりのもとに近寄ってくる。
美知は、近寄る男達を止めようと、無意識につぶやいていた。

「おい。何だ！　漏らしちまったのか。」
「あんた本当は刑事なんだろ…。警察の奴がこんなところに小便漏らしていいのか。」

「…あ、あぁ…、ごめんな…さい…」

屈辱的な現場を見られて、美知は刑事であることを否定するどころではなかった。

「おいおい、さっき…そっちの女に言った事、聞いてただろ。」
「漏らしでもしたら許さない…全裸の姿をＴＶ放映してやる…って話。」

「そんな！…ああ…　ごめんなさい…　許して！」

祝杯の席の面白い余興ができたとばかりに、男達はにんまりと笑っている。
男達の不気味な笑みに、美知は全身から血の気が引いていくようだった。

「おい、…とりあえず手枷を解いてやれ。…まずは、自分で漏らしたものの始末をしろよ。」
「人質がいるんだ、刃向かうんじゃないぞ。」
「後の事はそれからだ、…何ならそんなびしょ濡れのパンツなんか脱いでいいんだぜ。」

「…ああ…　ごめんなさい…　　し…下着…は…このままで…いい…です…」

手枷を解かれた美知は、男に渡された雑巾で自分が漏らして汚した床を拭いていく。
美知は女性ながらも特殊犯捜査に選抜された優秀なエリート刑事である。
その優秀さと頭抜けた美貌で、警察内部では男女問わずに憧れられているのだ。
桂子が麗人女子行員といわれるならば、美知は麗人女性刑事というにふさわしい存在であった。
そんな自分が、漏らして濡らしたものを拭いた雑巾を、バケツの中に絞っている。

（あぁぁ…　み…惨めだわ…）

ようやく床を拭き終わり、濡らしたショーツに雑巾を当てながら、その惨めさに涙がこぼれてきた。

「…そんな小便で濡れたパンツ脱いじまった方がいいと思うがな。」
「…まあ、いい、好きにしろ。…お楽しみはとっておくか。」

「それより、あんたカメラマンなんだろ、カメラを構えろよ。」
「最初の罰だ。まずはあんたが、そこの麗人女子行員の全裸を撮れ。」

「えっ！」

男の言葉に桂子が驚き、慄きの声をあげた。

「ふふふ、お前にはとんだとばっちりだが仕方ないだろ、人質同士の連帯責任ってやつだ。」

「そんな…」

何を言っても無駄なのだ、男達にとっては理由なんかどうでもいい、これは酒の席の余興なのだから。

「…ごめんなさい…　許して……」

男に言われるままに美知は、カメラを構えて撮影していく。
後ろ手に拘束されている桂子は貧弱な胸を隠すこともかなわない。
生放送で放映されているものだと思っている桂子は激しく取り乱している。
しかし、ここにきて、わざわざそんな映像を放送させるリスクを冒すほど男達はばかじゃない。
放送機材をいじっている一味の男は録画撮りをしているだけである。
しかし、そんな事には桂子も、そして美知さえも気づいていなかった。

「最後の一枚だ。俺たちは、もう何度も見せてもらってるがね。ふふ…ＴＶの前の連中には初披露だ。」

男は、わざと桂子を追い詰めるように嘯くと、桂子のショーツに手を掛けて一機に脱がした。

「あっ…だめ！　…ぁぁ…」

白い下腹部の付け根を覆うように生えているはずの陰毛は、きわめて薄かった。
そのため、隠されるべき肉の裂け目までもがくっきりと見えてしまっている。

「ふふふ、視聴者は、お前の可愛らしいオールヌードに驚いているだろうな。」

佳子の裸はアンバランスさゆえの不思議なエロティシズムを漂わせている。
女らしい美しい体でありながら、胸はほぼ平ら、股間も無毛に近い薄い生えっぷりなのだ。
成熟した女と少女のような未成熟さとが同居した裸体である。
こうして画に撮ってみると、それは男達にとってたまらないものだった。

「いや、いやぁ…」

桂子はＴＶを見ているであろう、膨大な数の好色な視線を感じないわけにはいかない。
子供のように薄い恥ずかしいその場所、その一点へと視線が集中している錯覚に襲われていた。
自分の全てを大衆に向かってさらしているのだという、絶望的な羞恥の中で桂子は喘いでいる。

（…許して…、…必ず助け出すから…耐えて…我慢…して…）

特殊犯捜査の刑事として身代わりとなってでも助け出さなければならない人質の姿。
しかし…美知は、今は桂子のそんな姿を黙って撮りつづけるしかなかった。

（恥辱の麗人　第三章　おわり　　～第四章へつづく～　）

～2015年12月11日～